出版翻訳の仕事

皆さんは外国に行って、日本の作家の本がその国の言語に翻訳されて売られているのを見たことが有りますか。

近年はこのように日本の作家の作品が海外で翻訳されて出版されるケースも非常に多く、海外に多くのファンを持つ日本の作家もいます。

皆さんはその逆のケースを考えてみてください。

逆もまた然りで、日本でも海外の作家の多くの作品が日本語に翻訳されて、そして出版されて売られています。

皆さんも海外の有名な作家の名前を何人か言えるでしょうし、実際にこれらの海外の作家の作品を読んだことがあるかと思います。

勿論これらの中からベストセラーが出ることも有り、日本で非常に高い知名度を誇る海外の作家もいます。

ついでながらこのような作品が日本の読者に読まれるのは、翻訳家による翻訳作業の賜物であるとも言えます。

ところで最初のケースに戻りますが、日本の数多くの作品、数多くの作家のうち、それが海外に翻訳されて紹介されているものと、そうでないものとがあります。

勿論毎年日本国内で数多く出版される書籍の、その全てが海外でその国の言葉に翻訳されて出版されるわけではありません。

逆もまたそうで、毎年海外で数多く出版される書籍の、その全てが日本で日本語に翻訳されて出版されるわけはありません。

では一体どんな作品が日本語に翻訳されて出版されるのでしょうか。

その辺りの取捨選択はどうなっているのでしょうか。

翻訳出版の舞台裏

ここではそういった話、いわば翻訳出版の舞台裏を紹介します。

出版社のもとには、海外出版物の近刊或いは新刊が、版権エージェントといういわば業者から大量に持ち込まれてきます。

出版社がそれらの海外の出版物を日本語に翻訳して日本で出版しようと思えば、これらの版権を購入する必要があります。

ですが当然ながらこれらの版権を全て購入するわけは有りません。

出版社が実際に版権を取得しようとするのは、このうちのごく一部に過ぎません。

ではこれらの大量の海外出版物の中から、出版社はどうやって取捨選択するのでしょうか。

この取捨選択に当たっては、まずその原作をリーダー(reader)と呼ばれる人々に読んでもらうことになります。

リーダーはその原作を読了した後、シノプシスと呼ばれる要約を作成し、それに評価と感想を添えて出版社に提出します。

出版社はリーダーからの反響を基にして、その海外出版物が日本で翻訳して出版する価値のある本かどうかを検討するのです。

ところでこの過程に大きく関わってくるのがリーダーと呼ばれる人達ですが、この人達は一体どういった人達なのでしょうか。

このリーディング作業は、翻訳を頼む可能性の高い翻訳家に依頼されることもありますが、多くは若手の翻訳家、或いは翻訳家を志望する人達等が担当することが多いようです。

こうした言わば翻訳界の新人にとっては、出版社にその実力をアピールする貴重なチャンスだとも言えます。

出版社はリーディングの結果を受けて、その海外作品を翻訳出版するかどうかを討議します。

出版社によって出版が決定すると、いよいよここからが翻訳家の出番となります。

出版翻訳の場合、出版社から直接個人に翻訳が依頼されるのが一般的です。

このほか、翻訳会社や翻訳出版プロダクションが受注、仲介しているケースもあり、ノンフィクション等のジャンルを中心に一部こうした形態も見られます。