出版翻訳の世界
皆さんも書店や図書館等に行くとお気づきでしょうが、海外の作家によって書かれた文学や書籍が数多く並べられています。
ということはこれらの全てに翻訳家らによる膨大な翻訳作業が行われているのです。
従来ならばエンターテインメント文学やビジネス書といったところが翻訳書の定番だと言えましたが、近年はこれらに加えて子供だけでなく大人でも読める寓話的な作品等がここ数年来の目立った売れ筋の書籍となっています。
『ハリー・ポッター』シリーズ等がその代表であり、児童書でありながらも大人の間でも広く愛読されて、ベストセラーとなっています。
このように現在は実にたくさんの海外の書籍が日本語に翻訳されて出版されています。
毎年の日本における翻訳書の出版点数は非常に多くなっています。
ということは、それだけ業界の間口が広く、新人の翻訳家であっても比較的そこへ参入しやすい、ということを意味しています。
海外書籍の翻訳
たくさんの海外書籍が翻訳されて出版されると言うことは、それだけ業界の規模が大きくなり大勢の翻訳家に仕事が回ることにもなります。
ですので業界としてはそれ自体は喜ばしいことです。
ですが反面、翻訳という仕事の機会が多くなった分、その結果未熟な翻訳家が量産されていると憂える声もあります。
比較的簡単に仕事が受注できるのいいのですが、その分出てくる翻訳家の質が玉石混交となってしまっている感もあります。
従って業界に通ずるある翻訳家に言わせれば、真に優秀な翻訳家は大変不足しているとも言います。
このように現在の翻訳出版の業界を見た場合、その出版点数は非常に膨大に膨らんでいます。
その一方で市場の回転は非常に速く、個々の作品の発行部数で見た場合は近年顕著に減っています。
新しい書籍が次から次へと翻訳されて書店に並ぶので、新しく出版されて書店で売られる書籍が、ものの数日で更に新しく出版された書籍に取って代わられることになります。
これでは道理で発行部数が激減するはずです。
ではこのような状況が翻訳家にとってどのような影響を及ぼすのでしょうか。
ところでここまでお読みになった皆さんは、外国の書籍を翻訳する翻訳家は一体どうやって収入を得ているのか、不思議に思っていませんでしたか。
実は翻訳家の収入は、書籍の印税ベースで報酬を得ることになっています。
ということはこうして報酬を得ている翻訳家にとって、自分の翻訳した書籍が発行部数を減らすことは、なかなか厳しい状況だと言えます。
先に書いたように、通常出版翻訳の場合の翻訳家に対する報酬は印税の形で支払われますが、その金額が一体幾らになるかは、本の刷り部数によって大きく左右されるのです。